メディアと流通のむかし話

1980年代(MADテープ時代)

主なメディア

カセットテープ

編集方法

MADテープの原型になるものは1970年台から存在されると言われています。ダブルラジカセなどのダビング機能を用い、様々な音声をつなぎ合わせたもの。

流通経路

大学のサークルやコミケなどで流通していたとのこと。

 

1990年代(アナログMADビデオ時代)

主なメディア

VHSテープ、S-VHSテープ

編集方法

ビデオデッキを2台用意し、ダビングの要領で様々な映像をつなぎ合わせて編集してくもの。

90年台後期、VHSメディアは成熟期を向え、ユーザー向けながらプロスペック仕様のビデオデッキが多数登場しました。また、テロップを入れる為に専用のテロッパーといわれる機械を購入する者や、編集機を買い揃える強者もおり、MAD製作者は業界関係者である説がまことしやかに囁かれていました。(実際に業界の方もいらっしゃいましたが。)

当時、ユーザー向けで多く親しまれたのがVictorこと旧日本ビクター㈱がプロユース向けに発売した“HR-X5(定価225,000円)”、“HR-X7(定価250,000円)”。これを2台・3台つなぐことで、プロ環境と同じ編集が可能でした。

Victor HR-X5
Victor HR-X7

私も配布用の“ダビング”に、中古品のX5を利用してました。
そしてこれに使うSケーブルが1万円くらいだったかと・・・。(オーディオユーザーの先輩に言わせれば、これでも毛の生えた程度だとか(汗 )

完成形が全て頭に入っていないとできない作業。正に神業!!先人たちは、想像もつかないこと思いついたものです。

流通経路

同人イベントや上映会などの小規模なコミュニティで配布されていたと聞いています。

90年台後半になるとインターネットが普及し、全国の草の根ネットワークが盛んになってきました。私が足を踏み外したのもこのころです。

そしてメールなどを通して郵便手段が用いられるようになります。ビデオテープが郵便で送られてくるなんて不審物極まりないですね。(私も親にだいぶ怪しまれました・・・)

このころになると、ビデオデッキの値下がりも拍車をかけ、ダビングがダビングを生み、MADの知名度がコアなアニメオタク達に一気に拡散した正にカンブリア爆発の時代です。

 

1998年(ハイブリットMADビデオ時代)

主なメディア

VHSテープ、S-VHSテープ、Data CD、Video CD

編集方法

アナログ(VHS)→デジタル(PC)→アナログ(VHS)

編集のみノンリニア編集です。

ネット通信が今ほど高速ではなかった為、依然VHSが主流でしたが、はじおう氏の「おたくのMAD」以降、CDにデータを保存したものが増え始めました。

MADビデオの転換期

1997-1998年「おたくのMADビデオ」が火付け役となり、デジタル編集時代が到来。時は『MAD戦国時代』を向えます。

 

2000年代(デジタルMADビデオ時代)

主なメディア

DVD Video、DVD Data

編集方法

DVDの普及により、完全なデジタルMAD編集の時代が到来します。

DVD → PC → DVD

流通経路

2000年台初頭、WinMX、Winnyといったファイル共有ソフトが現れ始め、インターネット上にMADビデオが拡散される要因となりました。コピーがコピーを生み、アニメオタクに限らず世にその名を知られるきっかけとなりました。

MADビデオは一層アングラ色が強くなり、HACK系の雑誌に登場することもしばしばあったようです。

2001年頃だったと思いますが、Pioneerが国産初のDVD-Rドライブを発売(たしか10万くらいだったと思います)。その後、様々なメーカーからドライブが発売され徐々に値段も下がり、オフラインのコミュニティではDVD Video形式の流通が盛んになってきました。

2002年、初めて日本中にDVDをばら撒いた張本人が私です。(正確には、初めてDVD化に成功したのはC氏で、その後知人限定で配布を行ったのはM氏だったと思います。)オーサリングソフトも海外製しかない時代で、大分不具合のの多いメディアでしたが、時代の転換点を作れてよかったと感じています。

DVD-Rが1枚1,000円、書き込み速度は1倍速、そして失敗率10%という地獄なような環境で200枚焼いた当時の作業は何かの罰ゲームとしか思えませんでした・・・

 

2010年代(MADムービー時代)

主なメディア

Blu-ray Disc、動画配信サービス(ニコニコ動画、YouTube、旧ZOOME)

流通経路

オフラインでは、徐々にBlu-ray Discを使用するものが増えてきました。

しかし、作品集として1枚のメディアに収録するスタイルは、上映会主体の一部のコミュニティに限られ、ユーザーの多くは動画投稿サイトに移りつつあります。「MADビデオ」の本来の意味は失われ、単体で鑑賞される「MADムービー」という総称に移り変わりつつある大きな転換期でもありました。

 

2020年台(MAD???時代)

今までの流れを見ると、そろそろ新しい転換期がきてもおかしくない頃合いです。MADビデオがメディアのライフサイクルに連動していることは、歴史が物語っており、次のメディアの登場を待っている段階といえます。

一方、2018年7月現在、YouTubeは著作権に関する規制を一層強化しました。ニコニコ動画のユーザーはYouTubeへ流れ減少の一途とはいえ、再度戻ってくるキッカケ(視聴者・フォロワー)が無い今、MAD製作者は制作意義を見失いつつあるのではと懸念を抱いています。

オンラインであれオフラインであれ、コミュニケーション手段がその鍵を握ってることは確かで、これからも、ひっそりと夕闇の中から歴史を見守って行こうと思います。

更に4Kにシフトしていくのか、または、まだ見ぬメディアが鍵を握っているのか?それはそれで楽しみじゃないですかw

 

参考サイト

MADムービー – Wikipedia

MADテープとは (マッドテエプとは) [単語記事] – ニコニコ大百科